5月19日のブログで宿題にしていた、大型画像の作り方です。
1、撮影する
通称8×10(エイトバイテン)と呼ばれる、8×10インチ(24×30㎝)のフィルムに撮影できるカメラを使いました。
撮影では、作品を傷める危険がないようにすることに一番気を使います。たとえば、熱線や紫外線が出ない照明を使うのはもちろんのこと、作品の上にカメラや機材がこないようにする、マスクを着用することなどです。
そして、絵が最も美しく見えるように、金の反射や黒色のしまり具合、光の角度など考慮しながら最適なライティングを定めてシャッターを切ります。もちろん光の色温度を適正にしてカラーチャートを入れる事、シャープな仕上がりになるように絞りをきつくする事も忘れずに。
作品を、幅25㎝ずつ合計10コマ撮影しました。
これがそのフィルム。
左側シルエットのスマホで大きさを見比べてください。
2、フィルムをデータ化する
ハイエンドのドラムスキャナーを使用して、フィルムの粒子が見える直前までスキャンします。
3、出力用データを作る
i. カラーチャートを使って画像の色を正しく補正
ii. Illustrator上にデータ化した画像を読み込み、
垂直水平を調整、その後画像を連結していく作業
(※)データ量がGB(ギガバイト)単位なので、いきなり超高精細画像をIllustratorに放り込むと、すぐにフリーズして、連結作業などやってられません!!
まずはある程度細部まで見えるギリギリのところまでデータ量を圧縮したデータを作成し、
その画像データを使用し、出力データを制作していく。
そして、データが仕上がり、出力する段階で、印刷範囲の画像だけを圧縮画像から超高精細画像にリンクをすり替える。
あとはその作業の繰り返しで、画像のリンクを入れ替え入れ替え一枚一枚出力していくのです。
4、出力して画像を張り付ける
まず出力
「清盛とその時代」展(2012)の記録より
つぎつぎと床に並べていきます
「清盛とその時代」展(2012)の記録より
白い縁をカッターナイフで切断しておき、後は現地で直接天井から床まで貼り込みます。
初めにレーザー式水準器を使用して、中央部分の画像を垂直に貼り付け、そこから左右に貼り足していきます。ドアや凸凹、いろんな障害にも負けずに全部にどんどん貼っていきます。
5、完成
トピック
写真を貼る前に天井にペンキを吹きつけました。
久しぶりに肩が凝りました。
うみひこ
資料:使用機材と撮影データ
カメラ Sinar P2 8×10
レンズ Schneider APO-SYMMAR 6.8/360
ストロボ COMET CA-3200
絞り 32 1/3
シャッタースピード 1/125
フィルム 富士フイルム RVP50 8×10
ドラムスキャナー Heidelberg S3900
パソコン Mac Pro OS X
ソフト Adobe(Illustrator CC/Photo Shop CC)
出力機 Canon IPF8400
出力紙 合成紙(PP)「厚手」マット
虫ピン オリジナル製品 2014年5月26日ブログ参照
両面テープ nitoms No.539R J0810