11月22日(土)はロビーコンサートがございます!

「生誕150年記念 竹内栖鳳」展は、おかげさまで開幕以来多くのお客様にお越しいただいております。
本日は、本展をさらにお楽しみいただけるイベントのご案内です。

2014年11月22日は、竹内栖鳳の150回目のお誕生日。
これを記念し、海の見える杜美術館ではロビーコンサートを開催いたします。
20141118 11月22日はロビーコンサートがございます
今回演奏してくださるのは、現在、世界文化遺産宮島観光大使としてご活躍中のデュオ 旭爪姉妹。
ピアノとバイオリンのアンサンブルで、素敵な曲の数々を披露してくださいます。

また、この記念すべき栖鳳の150回目のお誕生日をお祝いするため、コンサートにご参加くださった皆様へ、お祝いの品として小さなプレゼントもご用意しております。創設以来、栖鳳の作品や資料の収集に努めてきた当館ならではの、栖鳳への愛の詰まったユニークなイベントになる予定です。

11月22日のロビーコンサートにどうぞ足をお運びください。
皆様のご来館をお待ちしております!

森下麻衣子

竹内栖鳳展のもう一つの見どころ ― 広間の再現

竹内栖鳳が若かりし頃描いた12面の襖絵を展示するにあたり、当初の姿に近い展示をして、栖鳳の絵に囲まれ、そして、大勢の方にお越しいただく美術館としては異例かもしれませんが、襖を開けるという所作をもお客様にお楽しみいただきたいという思いから、この度の竹内栖鳳展で広間の再現を試みることになりました。

三方を囲む空間表現、そして、襖を開けても破たんしない、襖の重なりまで計算された構図の妙、何よりそのたたずまいをお楽しみいただけると幸いです。

この展示は、第二展示室(鳥の作品を集めた部屋)の先にあります。

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (1)《秋冬村家図》広間の再現(複製)

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (3)こちらの襖を開いて次の展示へお進みください。

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (2)襖を開くとその正面に、実物の襖を展示しています。

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた? 伝来に関する新たな知見

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竹内栖鳳《スエズ景色》(1901年 海の見える杜美術館蔵)

竹内栖鳳が描いた唯一の油絵《スエズ景色》については、11月5日のブログ記事で詳しくお伝えしました。この作品について、最近新知見が報告されました。

《スエズ景色》は、1901(明治34)年に開催された関西美術会第1回展に出品された後、このたびの展覧会まで、一般公開の記録が確認されていません。最初の展覧会に出品されてから、今回の展覧会に至るまでの113年の間、この絵はいったいどこにあったのでしょうか?

前の記事にも書いた通り、この絵のかつての所蔵者として挙がっているのは、柴田源七という人物です。柴田は、滋賀長浜の実業家で、芸術家のパトロンとしても名を馳せた人物です。彼が特に熱心に支援したのが栖鳳でした。

《スエズ景色》が柴田に所有されていたことの根拠は、1940(昭和15)年に柴田が記した「珍什の二作品」(『塔影』16巻11号)という文章によります。この文中で柴田は、自身が所有する栖鳳の作品の中でも特に珍しいものとして、この《スエズ景色》を挙げています。これにより、遅くとも1940年までには、柴田が本作を入手していたことが分かります。

また、本作に付属する箱蓋に書かれた由緒書きは、柴田によるものです。この由緒書きの年記は、本作が発表された翌年の1902年。おそらくこの時点でも、柴田が所有していた可能性が高いと考えられます。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-2
《スエズ景色》の箱蓋(海の見える杜美術館蔵)。「壬寅(1902年)秋日」の年記が見えます。

こうした事実より、展覧会出品直後から1940年に至るまでのおよそ40年間、この作品はずっと柴田の手許にあったものと考えられてきました。しかし、こうした推測の再考を迫る新たな情報が、このたび提示されました。京都にある龍谷ミュージアムで開催中の「二楽荘と大谷探検隊」展に出品されている写真絵はがきに、《スエズ景色》ととてもよく似た絵が写っているのです。

この絵はがきは、大谷光瑞が建てた別荘・二楽荘の一室「印度室」を写したものです。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-3
二楽荘「印度室」の写真絵はがき(1912〜13年 龍谷ミュージアム蔵)

この部屋の左側をよく見てください。壁にかかっている絵は、《スエズ景色》と似ています。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-4
二楽荘「印度室」の壁に掛かっている絵。《スエズ景色》と似ています。

この二楽荘を建てた大谷光瑞は、浄土真宗本願寺派第22代門主(教団の長)です。彼はヨーロッパ留学の経験もあり、教団の近代化に取り組んだ、開明的な人物として知られます。また「大谷探検隊」の名で知られる、中央アジアの調査隊を組織し、仏跡の発掘調査をするなど、様々な文化活動を行いました。

光瑞は1908年、六甲山麓に、彼が懇意にする建築家・伊東忠太が設計した壮麗な別荘を建設します。これが二楽荘です。この別荘は、光瑞が抱える多額の負債や教団内のトラブルがもとで大谷が失脚したため、落成からわずか6年後の1914年に閉鎖しています。今回話題になっている二楽荘を撮影した絵はがきは、1912〜13年に撮影されたことがわかっています。

洋の東西を問わず、宗教権力は芸術の有力なパトロンです。京都の大きな寺社は、近代に至るまで芸術家の庇護者として、絶大な影響力を有していました。栖鳳は、東本願寺との間に特に強い結びつきを持っていたことが知られています。1885(明治18)年、若き日の栖鳳は、師の幸野楳嶺とともに、東本願寺法主の大谷光勝に従い、信州から北越にかけての巡歴に同行しています。

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《北越探勝帖》(1886年 海の見える杜美術館)。栖鳳が大谷光勝に同行して北越を巡歴した際、各地の名勝を描いた画帖。

また後に栖鳳は、時の東本願寺法主大谷光演より、親鸞上人の650年遠忌にあたる1911年(明治44)に向けて整備が進められていた大師門堂の天井画制作の依頼もされています。この他、栖鳳が描いた数少ない人物画の代表作のひとつである《日稼》(1917年 個人蔵)は、東本願寺の庫裏(寺の台所)の様子を描いたものとされ、モデルとなった女性は信徒総代の娘であることが判明しています。

このように、栖鳳と東本願寺はつながりがあったことが指摘されていますが、仮に《スエズ景色》が光瑞の別荘にあったとするならば、栖鳳は光瑞が率いる西本願寺ともなんらかの関係のあった可能性が浮上してきます。

 

栖鳳と光瑞に個人的な関係があったのかどうかは、残された資料からは判然としません。しかし、栖鳳がパリ万博視察のため渡欧した時期、光瑞もヨーロッパに留学していたことからすれば、もしかしたら、現地で栖鳳と光瑞が対面するなどして、面識があったということも考えられます。

さて、果たしてこの写真に写っている絵は、栖鳳の描いた《スエズ景色》なのでしょうか? 本作を光瑞が所有していたと仮定すると、遅くとも1912〜13年までには柴田から光瑞へと所有が移り、更に遅くとも1940年までには、再び柴田の蔵に帰したということになります。しかし、この間の歴史の空白はあまりにも大きく、現時点では断定的な発言をすることはできません。ただし、《スエズ景色》の伝来に関して、今まで考えもしなかった角度からの光が当てられたことは間違いないでしょう。

《スエズ景色》は、当館にて12月14日まで展示されております。ご興味ある方はこちらと併せて、龍谷ミュージアムで11月30日まで開催されている「二楽荘と大谷探検隊」展も、ご覧になってください。

龍谷ミュージアム公式サイト:
http://museum.ryukoku.ac.jp

田中伝

竹内栖鳳展のもう一つの見どころ - 打掛

受付を済ませて右側へ進み、1階ギャラリーでスケッチや写真、蔵書など栖鳳の学びの足跡をご覧いただいた後、エレベーターで2階へあがり、いよいよメインの展示会場へとお進みいただきます。

2階へ到着し、エレベーターを降りて右側へ進み、案内に従って自動扉を過ぎるとすぐ正面に、長女 園の輿入れに際し、父栖鳳自ら絵筆をふるった打掛が展示されています。およそ100年前の1919(大正8)年に披露された後、人目に触れることはなかったのではないでしょうか。栖鳳の愛娘に向けた深い想いを感じることができる貴重な作品です。

20141109竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 打掛 (1)2階入り口自動扉よりエントランスを臨む

20141109竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 打掛 (2)第2展示室よりエントランスを臨む

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

竹内栖鳳展のもう一つの見どころ - 第五展示室

当館は、展示をひと通りみたあとロビーにもどってくる順路になっています。
そこで何となく展覧会を見終わった気分になるのですが、受付を正面に見て左側にもう一つ、第五展示室がございます。

入り口のガラス扉から部屋をのぞくと、中は少し暗く様子がよく見えませんが、どうぞ自動扉『開く』のスイッチを押してください。この部屋では、いろいろな角度から作品をご堪能いただけるよう、特に工夫を凝らした展示を試みています。

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (4)畳の間に屏風を展示

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (1)栖鳳作の茶道具で茶室を再現

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (2)床の間を模して作った展示ケース

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (3)栖鳳が絵付した珍しい器物類の展示

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

展覧会の1枚 《スエズ景色》

11月1日、ついに「生誕150年記念 竹内栖鳳」展が開幕いたしました。
近代日本に大きな足跡を残した画家・竹内栖鳳の多彩な表現世界を、彼が描いたさまざまな作品からご覧いただける展覧会となっております。

本展には、今まで所在不明であった竹内栖鳳の作品の数々が出品されます。これら幻の逸品といえる作品の中でも、特に展覧会の目玉として取り上げられるのが、《スエズ景色》と題された作品です。

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まず驚かされるのが、この絵が油絵の作品であるということです。また描かれる主題も、画題からすればスエズ運河周辺の情景を描いたものとされており、なんとも異色です。竹内栖鳳に対する一般的なイメージは、瀟洒な絵を描いた日本画家というものでしょうが、この作品は、それとはかけ離れています。画面右下に記される落款(サイン)がなければ、本当に栖鳳がこの絵を描いたと信じることはできないでしょう。

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作品右下の落款。「辛丑(1901年)十一月 栖鳳写」とあります。

いったいこの作品は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

《スエズ景色》は、1901年(明治34)に描かれました。この前年、栖鳳はパリで開催されている万国博覧会を視察するため、およそ半年の間、ヨーロッパを巡る旅に出ました。栖鳳はこの旅の道中、スエズ運河を通っており、その様子を「紅海近傍は広漠たる沙土天に連り、亞刺比亞(アラビア)・亞弗利加(アフリカ)の間を通過せる蘇士(スエズ)の運河に入りて駱駝の遊べるを見る。又両岸は狭くして船を並べて通過することを許さず」と、家族に宛てた葉書に記しています。この時の経験が栖鳳にインスピレーションを与えたことは、想像するに難くはありません。

20141104展覧会の1枚《スエズ景色》(3)
ヨーロッパに向かう途中で栖鳳が家族に宛てた絵葉書(1900年9月12日 海の見える杜美術館)。スエズ運河を通ったことが記されています。

また、栖鳳がヨーロッパで収集した写真からの影響も、この作品について考える上で重要です。栖鳳はヨーロッパ視察の際、数多くの写真を買い集めましたが、この中に《スエズ景色》と非常に良く似た構図のものが存在するのです。栖鳳は写真を絵画制作における有用な資料と見なし、帰国後から積極的に活用しています。

20141104展覧会の1枚《スエズ景色》(4)
栖鳳が渡欧中に入手した写真。右下にはフランス語で「ナイル川とピラミッド」と書かれています。(海の見える杜美術館)

この作品は、1901年に京都で発会した洋画団体の関西美術会(後の関西美術院)に出品されました。栖鳳がヨーロッパから帰国したのが同年2月末ですから、帰国からわずかな期間でこの作品を描き上げたわけです。ヨーロッパ視察から帰ってきた栖鳳の興奮をみずみずしいままに凝縮した作品が、この《スエズ景色》である、ということができるでしょう。

この作品は、関西美術会出品後、栖鳳を支援していた実業家の柴田源七が所蔵していました。その後は展覧会に出品されることもなく、その所在も不明となっていましたが、近年当館の所蔵となり、このたびの公開となりました。

《スエズ景色》が実に113年ぶりの一般公開となる今回の展覧会を、お見逃しなきよう、ぜひ展覧会場に足をお運びください。

田中伝

竹内栖鳳展のフラッグが取り付けられました

10月19日のブログでちらりと見えていますが、
20141023竹内栖鳳展フラッグ (1)
街灯に竹内栖鳳展のフラッグが取り付けられました。
20141023竹内栖鳳展フラッグ (2)
美術館の周辺が、だんだんと華やいできました。
20141023竹内栖鳳展フラッグ (3)

11月1日より、113年ぶりに“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」展を開催いたします。ぜひお越しください。

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うみひこ

竹内栖鳳展に向けて改装中

竹内栖鳳展に向けて、改装が進んでいます。
20141022竹内栖鳳展に向けて改装中 (2)
いつもの空間が、ガラッと変わる予感がします。
20141022竹内栖鳳展に向けて改装中 (1)
展示ケースの中に床の間?

 

11月1日より、113年ぶりに“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」展を開催いたします。ぜひお越しください。

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うみひこ

NHKのニュースに栖鳳の油絵が取り上げられました!

NHKの8月30日のニュースに、113年ぶりの公開が決まった竹内栖鳳唯一の油絵《スエズ景色》が取り上げられ、当館の主任学芸員・田中伝が出演しました。

全国で放送されましたが、皆様ご覧いただけましたでしょうか?
テレビを見逃した方は、Googleで「NHK 栖鳳」で検索しますと、動画の見られるページが出てきます。是非ご覧ください!

あらかじめ告知することが出来ませんでしたので、かわりに取材風景をお届けいたします。

20140902NHKのニュースに栖鳳の油絵が取り上げられました! (1)
神妙な面持ち。

20140902NHKのニュースに栖鳳の油絵が取り上げられました! (2)
《スエズ景色》について熱心に語る。

20140902NHKのニュースに栖鳳の油絵が取り上げられました! (3)
不思議な角度で立っていますが、色々とポーズの指定があったのだそうです。

《スエズ景色》は11月1日から開催の「生誕150年記念 竹内栖鳳」展で公開されます。是非、展覧会で実物をご覧いただきたいと思います!

「生誕150年記念 竹内栖鳳」特設ページこちら
竹内栖鳳展 展覧会場 動画こちら
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森下麻衣子

竹内栖鳳の油絵、113年ぶりに公開!

竹内栖鳳の油絵作品《スエズ景色》は、幻の作品となっていましたが、高階秀爾氏(大原美術館館長)協力のもと入念な調査をおこない、このたび多くのメディアに取り上げられました。

20140829スエズ景色 記者会見 高階秀爾 (20)
記者会見の様子 高階秀爾氏
会場:海の見える杜美術館

本作品は11月1日から開催する「生誕150年記念 竹内栖鳳」展にて公開します。
113年ぶりに現れる、栖鳳幻の油絵をぜひ直接ご確認ください。また、竹内栖鳳展特設ページやブログカテゴリーの竹内栖鳳展にもいろいろな情報が満載ですので、どうぞご覧ください。

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うみひこ