二階堂美術館で竹内栖鳳の名品が公開中!

大分県の二階堂美術館で行われている『竹内栖鳳と京都画壇の画家たち』展には、竹内栖鳳の知られざる作品の数々が展示されています。。

その中に《瓜田・叢竹》六曲一双があります。

筆者は2018年「根津美術館紀要 『此君』 第10号  特集 光村コレクションの諸相」への寄稿(「光村利藻と竹内栖鳳―コレクターと画家の、ある交流の形―」)にあたり、本作品の所在を調べたのですが、つかめないままにいました。

明治の大コレクター光村利藻は、栖鳳が薄墨を何度も何度も塗り重ねて竹を描く様を不思議に見ていると、栖鳳から「これは普通の一筆に一気に描きあげた竹に比べると、手際が悪いように見えますが、画面からやや離れて熟視しますと、竹の幹のまるみが現われて絵に深みがでてきます」と説明を受け「やはり大家となる人は違うな」とつくづく感心したと述べています(増尾信之著『光村利藻伝』光村利之 1964 238頁)。なおその時に描いた絵は「六曲一双のその半双には竹林に雀の群れてさえずっている構図で、別の半双は、南京畑に何か一匹の小さな動物が畑を横切るという構図であった」(同237頁)と記録されているのです。その記録に対応する作品を探したのですが、1910年(明治43)に京都美術倶楽部で神戸某氏所蔵品として出品された屏風(明治43年4月4日「『神戸某氏所蔵品入札目録』 143番 栖鳳金地竹ニ雀 瓜ニ鼬屏風 一双」)の画像を見つけることができたものの、その実物の所在はわからないままでした。

竹内栖鳳 光村利藻

このような荒い画像では竹が「薄墨を何度も何度も塗り重ねて」描かれているのか、はっきりとはわかりません。

また、「大体南瓜畑は描き終わって、その小動物も地塗りをして、絵の具の乾くのを待っていた。栖鳳が絵を描いているあいだ、豆千代(栖鳳が絵を描いていた光村利藻の別荘に招かれていた芸妓)が後ろに座って団扇で風を送っていた。栖鳳は突然豆千代に「これは何に見えますか」と質問した。豆千代は、かたちは「いたち」に似ているが「いたち」は肉食動物だから畑は荒らさない、「貂」は南瓜や柿などを好むというし「南瓜に貂」という画題も見たことがある。「これは貂ではございませんでしょうか」と答えたところ、栖鳳が頻りに褒め上げた(同238頁)」という逸話が残っています。が、これについても何の小動物であるかを見極めることができなかったのです。

竹内栖鳳 瓜田(六曲一双)右-2 二階堂美術館蔵

竹内栖鳳 叢竹(六曲一双)左-2 二階堂美術館蔵

竹内栖鳳 《瓜田・叢竹》六曲一双 二階堂美術館蔵

このたび、二階堂美術館さまが当館のインスタグラムに「いいね」をしてくださったご縁で、筆者は二階堂美術館さまのインスタグラム、そしてホームページで本作品が公開されていることを知りご連絡差し上げたところ、館長代理 佐藤直司さま、学芸部長 古賀道夫さま、学芸員 工藤美貴代さまほかスタッフのみなさまにご対応いただき、ブログにカラーで写真を掲載させていただくことができました。ご多用のなか、ご配慮いただきましたことに厚く感謝申し上げます。

展覧会には《熱帯風光》二曲一隻ほか多くの名品が出品されているようです。

実は私もまだ訪問できていないのですが、この機会にぜひ実物を直接目にしたいものです。

コレクション展4
『竹内栖鳳と京都画壇の画家たち』
会 期 / 令和3年2月10日(水)~4月11日(日)
会 場 / 公益財団法人二階堂美術館
主 催 / 公益財団法人二階堂美術館
後 援 / 大分合同新聞社

青木隆幸

ミュージアムショップはクリスマス

海の見える杜美術館 ミュージアムショップ (2)

ミュージアムショップはクリスマスの飾りつけになりました。

海の見える杜美術館 ロビー (1)

12月27日まで開催している「近代京都画壇の開拓者 幸野楳嶺」展 にお越しの際は、

海の見える杜美術館 ミュージアムショップ (1)

ミュージアムショップで幸野楳嶺グッズもお楽しみください。

インスタグラムYouTubeで出品作品を公開していますので是非ご覧ください。

さち

美術館から眺める夜景

展示替などで夜遅くなった時、美術館から眺める光景に癒されることがあります。

20200608宮島夜景 (12)-2
広島の街の光に囲まれる黄金山

20200608宮島夜景 (10)-2
夜も眠らない大竹方面の工場群

20200608宮島夜景 (15)-2
宮島口駅周辺と宮島

20200721宮島夜景 (8)
そして厳島神社

厳島神社の大鳥居は修復中なので網に囲まれていますが、夜はシルエットが浮かび上がっています。

うみひこ

華やいでいます

こんにちは! 朝は車のフロントガラスが凍った時のために準備したペットボトルのお湯が、ちょうど湯たんぽになり、大事に抱えながら出勤する今日この頃です。 気持ちまでじーんと温かくなります。

さて、現在「厳島に遊ぶ-描かれた魅惑の聖地-」展を開催しております。 今展覧会より、単眼鏡の貸し出しを始めました!

大きな画面の細部を観察する楽しみを知って頂きたく、受付にて貸し出しをおこなっております。

単眼鏡

IMG_0693 IMG_0691受付から覗いてみるとこんな感じです。かなり遠くまではっきりと見えるので、作品を観るとなると夢中になります。ぜひご自分の目でお好きな場所を心ゆくまで鑑賞してみてください。

当時観光地として人気だった厳島。その華やかさが作品を通して伝わってきます。 そして、華やいでいるのは作品だけではございません。

クリスマスということで、うみもりミュージアムショップも華やいでいます!IMG_0625 IMG_0576 IMG_0463 IMG_0573 IMG_0665

クリスマス仕様のショップもぜひお楽しみください。

A.N

クリスマスの贈り物に

こんにちは。

12月に入り、空気が冷たくなってきたこの頃ですが、遊歩道を散策すれば、身体が温まり気分はスッキリとします。 当館は標高200mにございますので、空気が澄んでいてとても気持ちが良いです。

さて、この時期になりますとクリスマスの贈り物をお探しの方が多いのではないでしょうか?
うみもりのミュージアムショップでは、図録やクリアファイル、ポストカードだけでなく、ガラスのはしおきやグラス等も取り揃えております。

ガラス作家、安田泰三氏が1つ1つ手作りで生み出すガラス作品は、どれも特別感を感じさせてくれます。

中でも今の時期、ご注目いただきたいのは繊細な模様のレースグラスです。IMG_0569《シャンパングラス》
注がれたシャンパンにレースが映え、目にも喜びをくれる作品です。

IMG_0571《(左)ワイングラス、(中央)レース文様コンポート、(右)レース文様皿》

IMG_0574 IMG_0575《ワイングラス》
赤ワインが引き立ちます。

この縦一列分のレースを作るのにも、工程がいくつもあるそうです。とても精巧に作られています。IMG_0587《レース文様皿》
サラダやお菓子、サンドウィッチ等、何を乗せても美しく映えることでしょう。

ガラス作家 安田泰三氏のプロフィール
1972 兵庫県神戸市生まれ
1993 富山ガラス造形研究所 造形科 第1期卒
1994 富山ガラス造形研究所 研究科 第1期卒
1994 富山ガラス工房勤務
1997~ Taizo Glass Studio設立

安田氏は、1995年以降、これまでに数々の展覧会に作品を出品し、多くの賞を受賞されています。
また近年では、海外の展覧会にも出品されています。
当館へお越しの際は、ぜひ実物をご覧ください。お声掛けいただければ、間近でご覧いただくこともできますよ。

そして、今回の展覧会で展示中の作品「厳島図屏風」と竹内栖鳳「スエズ景色」のポストカードもございます。IMG_0554 IMG_0553 IMG_0556 IMG_0580

その他、パーティーや小さなお子さんとのお出かけ時等に活躍する紙コップは、香水瓶がイラストの当館オリジナルとなっています。IMG_0588《5色1セット》

また、枯れないままずっとかわいいボタニカルペンや、この冬何冊も本を読まれる方へしおりも取り揃えております。IMG_0578ちょっとしたプレゼントや、大切な方への贈り物をお選びの際に、ご参考になれば幸いです。

A.N

遊歩道の紅葉、展覧会イベント情報

皆様こんにちは。
気が付けば明日から12月、2019年も残り1ヶ月となります。 今年やり残したことは今年のうちに片付けて、来る2020年を迎えたいと思う今日この頃です。
そのような中でも、杜の遊歩道の木々たちは、今年も見事な紅葉を見せてくれています。attachment01 attachment00

 

attachment02(天の橋より撮影)

紅葉はまだまだお楽しみ頂けますので、杜の遊歩道へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

さて、秋の彩が残る中、海の見える杜美術館では、「厳島に遊ぶ-描かれた魅惑の聖地-」展を開催しております。

attachment04今展覧会もブックレットを発行しております。展示中の、厳島を描いた屏風をすべて掲載。作品の魅力がギュッと詰まっておりますので、展示作品と併せてお楽しみください。

\ミュージアムショップは一足早くクリスマス仕様に!/attachment03

 

attachment00ガラス作家 安田泰三氏の作品《(左)レース文様コンポート、(右)シャンパングラス》

 

attachment01 《レース文様コンポート》

attachment02《シャンパングラス》

1つ1つ手作りで繊細なガラス作品を、クリスマスのお供にしてみてはいかがでしょうか。

会期中は、学芸員によるギャラリートークや、県立広島大学 宮島学センターの大知徳子先生を招いての公開レクチャーを行います。
宮島と展示中の作品について詳しく知ることができる内容です。ご興味のある方はぜひ!
ギャラリートークも公開レクチャーも参加費は無料となります。(ただし、入館料が必要です) 公開レクチャーは、事前お申し込みが必要となっております。まだ席に少し余裕がございます。どうぞお問い合わせください。

以下、イベント情報の詳細です。

【公開レクチャー「絵図から見る江戸時代の厳島参詣」】
[講師]大知徳子氏(県立広島大学 地域基盤研究機構 地域基盤研究センター 宮島学センター 特命講師)
[日時]11月30日(土)13:30~15:00
[会場]海の見える杜美術館
[定員]30名(先着順、事前申込)
[参加費]無料(ただし、入館料が必要です)
[申し込み方法]お電話かメールでお申し込みください。その際、参加者のお名前とお電話番号をお知らせください。なお、定員に達し次第締め切りとさせていただきます。

Tel:0829-56-3221 メールアドレス: info@www.umam.jp
(件名に「厳島に遊ぶ展レクチャー参加希望」とご記入ください)

【ギャラリートーク】
[日時]12月7日(土)、12月21日(土)、12月28日(土)13:30~(45分程度)
[会場]海の見える杜美術館
[参加費]無料(ただし、入館料が必要です)
[事前申し込み]不要

ぜひこの機会に当館で、絵画の中の厳島と、テラスから眺める厳島をお楽しみください。

A.N

「美術の森でバードウォッチング」展 最終日

皆様こんにちは。

8月3日より開催しておりました「美術の森でバードウォッチング」展は、

早いもので最終日となりました。

ご来館いただきました皆様、誠にありがとうございました。

バードウォッチング1 バードウォッチング2

/またお会いする日まで!\

さて、これより当館は、11月23日(土)より開催の

「厳島に遊ぶ-描かれた魅惑の聖地-」展に向けて、展示替えのための休館に入ります。

次回は、「安芸の宮島」の名でも親しまれる、厳島を描いた作品をご覧いただく展覧会です。

お楽しみにお待ちください。

宮島

(海の見える杜美術館 エントランスから見た宮島)

A.N

杜の遊歩道とPromenade情報

皆様こんにちは。
過ごしやすく、食べ物がおいしい季節ですね。
早いもので、気が付けば11月に入りました。
空気が澄んでいるこの時期こそ、季節の彩りを探しについつい杜の遊歩道を散策したくなります。
ふと目をやると、杜の遊歩道のイチョウが黄葉し、秋晴れの青空に綺麗な黄色がとても映えていました。

20191030 イチョウ1 20191030 イチョウ1

モミジの紅葉は現在、まだもう少し、というところですので、
秋の彩りの遊歩道はまだまだ楽しめそうです。

秋の遊歩道へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

さて、当館の季刊誌「Promenade Vol.32」冬号が完成いたしました。
常設展示の香水瓶や次回の竹内栖鳳展示室の企画について、
そして11月23日(土)より開催の「厳島に遊ぶ-描かれた魅惑の聖地-」について等、 今後の展示の見どころについて盛りだくさんの内容を記載しております。
プロムナード冬号1 プロムナード冬号2

皆様のお手元に届くのはもう少し先になりますが、
どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。

A.N

ミュージアムショップ情報

皆様こんにちは。

ミュージアムショップに新商品が入荷致しました!

フランスHoules社のタッセル「OPALE」。

このタッセルはビーズがアクセントになっており、

今までのタッセルとは雰囲気が違い、シックなデザインと色味になっています。

タッセル OPALE ショップ5

 

他にも、うみもりミュージアムショップでは様々なグッズを販売しています。

ショップ1【ショップの様子】

クリアファイルやしおり、ボタニカルペン、ポストカード等々…

使いやすい、見て楽しめる文具を取り揃えております。

 

ショップ7 ショップ6

【ガラス作家:安田泰三氏作(左:グラス、右:はしおき)】

さくらんぼは、オブジェとしても、はしおきとしてもお使いいただけます!

 

また、現在開催中の「美術の森でバードウォッチング」展のブックレットもございます。

ショップ2

ショップ3

学芸員一押しの作品が解説とともに掲載されています!

お手にとっていただきやすい大きさと価格になっておりますので、

ご来館の際はぜひ覗いてみてください。

 

A.N

美術の森でバードウォッチング展 見どころ①

みなさんこんにちは、ご無沙汰いたしております。ご無沙汰するつもりもなかったのですが、意外にも時は過ぎ、季節はもう秋。食欲の秋、読書の秋などいろいろ言われる季節ですが、皆様にとってはどんな秋でしょうか。ちなみに私は「これ」と特に言えるようなことは何もなく、四季を通じ変わらない生活を送っています。

さて、8月3日に始まり現在開催中の「美術の森でバードウォッチング」ですが、早いものでもう残り3週間となりました。まだご覧になっていないかた、ぜひ足をお運びいただければと存じます。

今回は、「第4章 きれいな鳥、かわいい鳥」で展示中の、石崎光瑤《春晝》(はるひる)をご紹介します。

春晝右石崎光瑤《春晝》1914年(大正3) 第8回文展出品(右)

春晝左(左)

石崎光瑤(1884~1947)は、富山県の現在の南砺市に生まれました。はじめは東京の琳派の画家・山本光一に師事、やがて竹内栖鳳に師事しました。

光瑤は、日本画の世界では、花鳥の名手として知られます。それ以外にも、登山家としての顔もあり、民間人としては初めて剣岳の登頂に成功、またインドを旅行してヒマラヤ山脈にも登っています。

私が石崎光瑤を知った最初の作品は1918年(大正7)に描かれた《熱国妍春》(京都国立近代美術館蔵)で、これはインドからの帰国後に描いた作品なのですが、六曲一双の大きな画面全体に生い茂る草花、その中を飛ぶ日本画ではあまり見ない白い長い尾の異国の鳥、一言で言うとパワーがあって、「こんな画家がいたのか~」と驚いたのを覚えています。

さて当館の《春晝》は、インドを描いた作品のような派手さはないものの、さすが花鳥画の名手というような、見ごたえのある作品です。

描かれているのは、枝垂れ柳の木の下で思い思いに過ごしているマナヅルたち。

マナヅルは体長120~153センチとありますから、結構大きいですね。この作品に描かれているのはほぼ等身大と言えるでしょう。この屏風を展示したときに学芸が口々に「ツルって大きいな…」「結構迫力あるな…」とザワザワしたんですよね。

春の日のやわらかい光の中、マナヅルが寝ていたり、歩いていたり…いろいろな動きをしています。私個人としては右の画面、枝垂れ柳の下で目を閉じているマナヅルの、目の表情が好きです。

本作品のすばらしさは、そのさまざまな形態の鳥を写実的に破綻なくとらえて描き出していること、そしてそれを表現する線の美しさかなと私は思っています。太い、細いという変化(肥痩)のある線で、マナヅルの体のボリュームが現れているのです。だから「迫力あるな…」なんて感想が出てくるのかもしれませんね。

けれど、その一方で色彩などは控えめで落ち着いており、のどかな春の日を感じさせます。今回よくよく見てみますと、柳の花の部分にだけ、絵の具の盛り上げがありました。柳の葉に埋もれてしまいそうな小さな花ですが、よく見てみると、しっかり主張してきます。

私は動物の中でも鳥が特に好きなのですが、今回は鳥をテーマにした展示ということで、そんな鳥好きの目から見ても「これは鳥の魅力が溢れているね!」という作品を展示しましたが(もちろんそれだけではないですよ)、この屏風は特にそれを感じる作品です。ツルやサギなどの大きめの鳥は、背中や首のラインが美しいのですが、それが画家の筆により、さらに引き立っている、と思います。

 

さて、では長くなってきたので今回はこのあたりで失礼いたします。

次は意外なほど好評をいただいている第2章の「物語の中の鳥」の作品をご紹介したいです。

森下麻衣子