杜の遊歩道のコウバイの中では、カゴシマベニ(鹿児島紅梅)が一番初めに花をつけます。
濃い紅色が美しい、八重咲きの花です。
もりひこ
梅は、春の訪れをいち早く知らせる花として、好んで描かれました。当館の所蔵作品にも梅を主題とする作品は数多くありますが、今回はその中でも、歌川広重の《梅に文鳥》をご紹介いたします。
画面の左右には冬の寒さにさらされた古枝と、青々とした新梢が対比的に配され、厳しい冬と遠からず訪れる春が、暗に示されます。
そしてこの絵に添えられているのは、誹諧師として著名な宝井其角(1661〜1707)が詠んだ「なつかしき 枝のさけめや 梅の花」の一句。あたかも古枝にとまる文鳥の心持ちを述べているかのようです。
この作品は、現在800点ほどが確認される広重の花鳥画の中でも、最も初期に描かれた作品のひとつです。花鳥を描いた浮世絵師はあまたいますが、広重が特に際立っているのは、絵と歌とが響き合う、詩意あふれる独自の世界を築き上げた点にあります。すぐれた花鳥画家としての広重の出発点といえるのが、本作といえます。
さて、この絵の主題であるハクバイは、現在杜の遊歩道でも目にすることができます。
こちらは八重咲きのハクバイです。
これから春の訪れとともに、枝を覆うように花が咲いていきます。
もりひこ
美術館は長期休館に入りましたが、杜の遊歩道はひき続きお楽しみいただくことが出来ます。
それではお正月に向けて、縁起の良い木を紹介します。
「十両」のヤブコウジは、『万葉集』や『源氏物語』などに「山橘(ヤマタチバナ)」の名前で登場する、古くから親しまれてきた植物です。また「千両」は、「仙蓼菓(センリョウカ)」「仙糧(センリョウ)」「仙霊草(センリョウソウ)」などと呼ばれて大切にされていました。
これらの名称の由来について、江戸時代、カラタチバナ(「百両」)が、「百両金」と呼ばれるほどの異常な高値をつけたことから派生して、その他の常緑で冬に赤い実をつける植物も、その名称や大小、果実の量などによってお金にちなんだ名称が割り振られたとの説もありますが、はっきりとしたことはわかっていません。
なお、センリョウだけがセンリョウ科の植物で、他はヤブコウジ科(最近の分類ではサクラソウ科)の植物です。
梅林の先の小路に生えています。
もりひこ
杜の遊歩道も秋から冬の装いになりました。
ツバキの小路の近くには、赤い花びらで敷き詰められた小路があります。
12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。
もりひこ
ガマズミの実が熟しました。
どこまでも深紅の実が、
秋の山に鮮やかな点景となっています。
12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。
もりひこ
バラ園の片隅で、ホソバヒイラギナンテンの花が咲いています。
実に個人的な感覚なのですが、細長い葉と黄色い花の組み合わせのせいか、
なぜか私にはヤシの木が連想され、南国のイメージを掻き立てられる花です。
バラ園入口
バラ園は、杜の遊歩道の駐車場側入り口にあります。
12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。
もりひこ