講演会「中国版画研究の現在」YouTubeにアップしました!

さてこのたび、2023年5月27日・28日に行いました「蘇州版画の光芒 国際都市に華ひらいた民衆芸術」記念講演会:「中国版画研究の現在」の全講演をYouTubeにアップしました。

どうぞご興味ある講演に下のリンクからお入りください。

さち

Technique as a Cultural Form: Making “Xiyang” in Suzhou Prints
Yu-chih LAI
Academia Sinica

Technique as a Cultural Form: Making “Xiyang” in Suzhou Prints
Yu-chih LAI
Academia Sinica

作为文化形式的技术:苏州版画中的“ 西洋”塑造
赖毓芝
中央研究

作为文化形式的技术:苏州版画中的“ 西洋”塑造
赖毓芝
中央研究院

文化形式としての技法:蘇州版画における「西洋」の制作について
賴毓芝
中央研究院

文化形式としての技法:蘇州版画における「西洋」の制作について
賴毓芝
中央研究院

Exploring the Jesuit Role in Early Qing Suzhou Prints
Anita Xiaoming WANG
Birmingham City University

Exploring the Jesuit Role in Early Qing Suzhou Prints
Anita Xiaoming WANG
Birmingham City University

探讨清初苏州版画中耶稣会所发挥之作用
Anita Xiaoming WANG
伯明翰城市大学

探讨清初苏州版画中耶稣会所发挥之作用
Anita Xiaoming WANG
伯明翰城市大学

清初期の蘇州版画におけるイエズス会の役割についての考察
アニータ・シャオミン・ワン
バーミンガム・シティ大学

清初期の蘇州版画におけるイエズス会の役割についての考察
アニータ・シャオミン・ワン
バーミンガム・シティ大学

Investigating the Origins of Eighteenth-century “Still-life” Prints in Painting
Anne FARRER
Sotheby’s Institute of Art – London,Center for Chinese Visual Studies, China Academy of Art, Hangzhou,and Muban Educational Trust

Investigating the Origins of Eighteenth-century “Still-life” Prints in Painting
Anne FARRER
Sotheby’s Institute of Art – London,Center for Chinese Visual Studies, China Academy of Art, Hangzhou,and Muban Educational Trust

自绘画中探查十八世纪“静物画”版画之起源
Anne FARRER
伦敦苏富比艺术学院,中国美术学院・杭州,木版教育信托

自绘画中探查十八世纪“静物画”版画之起源
Anne FARRER
伦敦苏富比艺术学院,中国美术学院・杭州,木版教育信托

18世紀の「静物画」版画の起源を絵画で探る
アン・ファーラー
サザビーズ美術カレッジ・ロンドン、中国美術学院・杭州、木版教育基金

18世紀の「静物画」版画の起源を絵画で探る
アン・ファーラー
サザビーズ美術カレッジ・ロンドン、中国美術学院・杭州、木版教育基金

Western Palaces and Suzhou Prints
Lucie OLIVOVA
Masaryk University

Western Palaces and Suzhou Prints
Lucie OLIVOVA
Masaryk University

西方宫殿与苏州版画
Lucie OLIVOVA
马萨里克大学

西方宫殿与苏州版画
Lucie OLIVOVA
马萨里克大学

西洋宮殿と蘇州版画
ルーシー・オリボバ
マサリク大学

西洋宮殿と蘇州版画
ルーシー・オリボバ
マサリク大学

Chinese Prints in Leykam Room
XiaoFei LI
Chinese National Academy of Arts

Chinese Prints in Leykam Room
XiaoFei LI
Chinese National Academy of Arts

关于莱凯厅中国版画
李啸非
中国艺术研究院

关于莱凯厅中国版画
李啸非
中国艺术研究院

レイカムの間の中国版画
李嘯非
中国芸術研究院

レイカムの間の中国版画
李嘯非
中国芸術研究院

Single-sheet Prints of the Northern Song Dynasty and the Beginnings of Reproduction Pictures
Kobayashi Hiromitsu
Honorary Professor, Sophia University

Single-sheet Prints of the Northern Song Dynasty and the Beginnings of Reproduction Pictures
Kobayashi Hiromitsu
Honorary Professor, Sophia University

北宋时期的单幅版画与复制画的开端
小林宏光
上智大学名誉教授

北宋时期的单幅版画与复制画的开端
小林宏光
上智大学名誉教授

北宋時代の一枚摺版画と複製絵画のはじまり
小林宏光
上智大学名誉教授

北宋時代の一枚摺版画と複製絵画のはじまり
小林宏光
上智大学名誉教授

Suzhou and Hangzhou – Looking at Suzhou Prints from the Development of Urban Imagery
Itakura Masaaki
Institute for Advanced Studies on Asia, Tokyo University

Suzhou and Hangzhou – Looking at Suzhou Prints from the Development of Urban Imagery
Itakura Masaaki
Institute for Advanced Studies on Asia, Tokyo University

从城市图发展的观点所见的苏州版画─以苏州和杭州为例
板仓圣哲
东京大学东洋文化研究所

从城市图发展的观点所见的苏州版画─以苏州和杭州为例
板仓圣哲
东京大学东洋文化研究所

蘇州と杭州、都市図の展開から見た蘇州版画
板倉聖哲
東京大学東洋文化研究所

蘇州と杭州、都市図の展開から見た蘇州版画
板倉聖哲
東京大学東洋文化研究所

Literary Tales and Chinese Prints
Ōki Yasushi
Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo

Literary Tales and Chinese Prints
Ōki Yasushi
Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo

故事与中国版画
大木康
东京大学东洋文化研究所

故事与中国版画
大木康
东京大学东洋文化研究所

物語と中国版画
大木康
東京大学東洋文化研究所

物語と中国版画
大木康
東京大学東洋文化研究所

Posters from the Republic of China as the Descendants of Chinese Prints — Centering on Succession and Changes in Tradition
Tajima Natsuko
Ome Municipal Museum of Art

Posters from the Republic of China as the Descendants of Chinese Prints — Centering on Succession and Changes in Tradition
Tajima Natsuko
Ome Municipal Museum of Art

民国时期海报里的中国版画复兴─以传统的继承与变化为中心
田岛奈都子
青梅市立美术馆

民国时期海报里的中国版画复兴─以传统的继承与变化为中心
田岛奈都子
青梅市立美术馆

中国版画の末裔としての民国期ポスター~伝統の継承と変容を中心として~
田島奈都子
青梅市立美術館

中国版画の末裔としての民国期ポスター~伝統の継承と変容を中心として~
田島奈都子
青梅市立美術館

The Transmission of Chinese Prints to Japan
Aoki Takayuki
Umi-Mori Art Museum

The Transmission of Chinese Prints to Japan
Aoki Takayuki
Umi-Mori Art Museum

中国版画在日本的流传
青木隆幸
海杜美术馆

中国版画在日本的流传
青木隆幸
海杜美术馆

中国版画の日本伝来
青木隆幸
海の見える杜美術館

中国版画の日本伝来
青木隆幸
海の見える杜美術館

芸術家たちのセンチメンタル・ジャーニー、開催中です

現在、海の見える杜美術館では「芸術家たちのセンチメンタル・ジャーニー」展を開催しています。

本展は、古来より芸術家たちのインスピレーションの源であった「旅」に注目します。彼らは各地の名所旧跡を旅して様々な風物に接し、旅先での体験を自身の作品制作に活かしてきました。その様相を当館のコレクションでたどっていきます。

今回は江戸時代の巻子作品、与謝蕪村の《奥の細道画巻》をご紹介します。

俳聖・松尾芭蕉(1644~1694)の名著、俳諧紀行文『おくのほそ道』を、絵師であり俳諧師でもある与謝蕪村(1716~1784)が全文を巻子に書き写し、いくつかの場面に絵をつけるという趣向の作品です。

蕪村といえば、京都を代表する絵師の一人であり、また俳諧の宗匠としてもよく知られた存在です。絵と俳諧の両方を極めて、両者を融合させた「俳画芸術」を完成させたことが知られています。

本作が作られたのは安永7年(1778)頃ですが、この時期(18世紀後半頃)は、俳句を詠む俳諧師たちの間で、芭蕉の俳諧芸術を復興させようという運動が大いに盛り上がっている時期でした。蕪村も俳諧宗匠として蕉風復興運動を積極的に盛り上げていて、奥の細道をテーマにした制作もその一環といえます。

当館所蔵作品の他に、京都国立博物館に2点、逸翁美術館に1点、同様の巻子が現存しており、山形県美術館には屏風形式の作品も伝わっています。蕪村自身が「是等は最早愚老生涯の大業」と自負しており、芭蕉を顕彰する大仕事だという意欲がうかがえます。


与謝蕪村《奥の細道画巻》(部分・那須野)
1巻 江戸時代、安永7年(1778)(会期中巻替あり・前期)

さて、こちらは巻子の前半部分、江戸を出発した芭蕉と曾良が、那須野(現在の栃木県北部)にある黒羽というところを訪れた場面です。二人がある村で馬を借りたところ、村の幼い子供たちが二人、馬のあとをついてきたそうです。

なんとも愛らしい様子の二人は兄妹のように見えます。
何かの遊びの途中だったのか、棒きれを持った少年と、その後ろを一生懸命追いかける少女。
少女は「かさね」という名前でした。
名前までもが可憐な彼女の様子を感慨深く思い、曾良が有名な句を詠んでいます。

かさねとは八重撫子(やえなでしこ)の名(な)成(なる)べし 
(かさねとはとても可愛らしい名前だが、花に例えるなら花びらを八重に重ねた八重撫子だろう)

蕪村は本作の制作にあたり、このエピソードを『おくのほそ道』に取り上げた芭蕉の感動を最大限に汲み取って、幼い子供たちの可愛らしい無邪気な様子を丁寧に描いています。芭蕉が残した名文学を、いかに解釈して、詩と書と画で表現するか。俳画芸術の完成者として知られた蕪村の力量が光ります。

《奥の細道画巻》は全長18メートルを超える長大な巻子で、残念ながら当館展示室のケース内では全てを一度に展示することができません。(一番長いケースで14メートルはあるのですが、それでも足りません)
そのため、会期中に巻替えを行い、9月24日(日)までは画巻の前半部分、9月26日(火)からは後半部分をご覧いただけます。

ぜひ巻頭から巻末までお見逃しなくご覧ください。

「芸術家たちのセンチメンタル・ジャーニー」展のご案内

まだ夏の暑さが残りますが、空の色や日差しには少しずつ秋の気配が感じられるようになってきました。

秋といえば芸術鑑賞、そして、旅にも良い季節ですね。現在海の見える杜美術館では、そんな季節にぜひご覧いただきたい「芸術家たちのセンチメンタル・ジャーニー」展を開催中です。

エントランスの様子

旅は古来芸術家たちにもインスピレーションを与えてきました。日本の芸術家たちも、様々な土地を旅しては、その経験を自身の表現に活かしています。今回の展覧会では、旅する芸術家たちの足跡を、当館が所蔵する日本絵画コレクションでたどってみました。平安時代の日本を歌とともに旅した西行法師から、発達した交通手段を利用して海外まででかけていった竹内栖鳳ら近代の画家たちまで、多彩な旅にまつわる絵画作品をお楽しみいただけます。

小さなブックレット(税込み550円)も絶賛発売中です。

チラシとブックレットです

展覧会は10月22日(日)までです。遊歩道の植物も徐々に秋の気配です。ぜひ展覧会とあわせてお楽しみください。