時代の流れとともに変遷する、文字の形や言葉の持つ意味。そして筆者の特徴ある書体が、文書の読解をムツカシクさせます。
特にこの書状は、私にとって難解の作品でした。展覧会『日本の書芸美 名筆へのいざない』(海の見える杜美術館 2012年)開催時に、財津永次先生(当館顧問 当時)に助けていただいて判読した、思い出の作品です。
武野紹鴎(1502 – 1555)
書状 「出度已来」
16世紀【室町時代】
13.8 × 39.7
LETTER “SHUTTAKU-IRAI…”
TAKENO Jouou
16th century, Muromachi Period
茶道は、茶祖珠光の創めた侘び茶を紹鴎が引き継ぎ、その門下の利休が大成しました。
この書状は「菊某」に宛て、普請中の茶友に建築の進捗工合などを気遣う内容で、利休の書状にも通じる書風が見られます。
– (無)□儀候へ共御
– 座敷きのま々
– 令□申候以上
出度已来無音申候
依御手前御作事
出来候哉無御心元候
御用之儀候者可承候
然者□銀も未出来
□れ御口切十四日に候
其元御法事にて
御上奉待候猶以
面上可申入候恐惶
謹言
菊□□ 紹鴎(花押)
文化遺産オンラインにて、作品を公開しています。
そのほかの書跡もどうぞお楽しみください。
さち
青木隆幸