小学館が発行する雑誌「和樂」のWEBメディア、INTOJAPANで「幸若舞曲と絵画」についてとりあげていただきました。「オススメ展覧会7」として掲載されています。
編集部厳選! 2019年3月に見逃したくないオススメ美術展10選
さすが和樂のウェブマガジン。展覧会を巡る旅に出たくなります。どの記事も魅力的で、デザインもとてもすてきです。ぜひご覧ください。
谷川ゆき
小学館が発行する雑誌「和樂」のWEBメディア、INTOJAPANで「幸若舞曲と絵画」についてとりあげていただきました。「オススメ展覧会7」として掲載されています。
編集部厳選! 2019年3月に見逃したくないオススメ美術展10選
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谷川ゆき
先週土曜日、3月2日から春期特別展が始まりました。週末の雨の中お出かけくださった皆様、ありがとうございました。金箔をふんだんに使った色鮮やかな作品がたくさん展示された今回の展覧会、なかなか豪華なものになりました。といいながら出し惜しみするようですが、まず今日のブログでは、展覧会の作品以外の見所についてご紹介します。
ポスターやチラシ、図録の表紙には《曽我物語図屏風》(渡辺美術館所蔵)の右隻、源頼朝の一行が富士の巻狩に臨む場面を使わせていただきました。さすがは桃山時代にさかのぼる曽我物語絵の名品、チラシのポップなデザインに負けない風格で、目にするたびに作品の力強さを感じさせます。
美術館のエントランスホールには、幸若舞曲の物語の中でめざましい活躍を見せる「武将が愛した英雄たち」を6人ピックアップしてバナーにしました。右から源頼朝、曽我兄弟の弟五郎時致、義経の母常盤御前、曽我兄弟の兄十郎祐成、源義経、平敦盛です。
さて、今回の展覧会、ぜひ注目していただきたいのが、エントランスホールの横、1階のエレベーターまでのスペースです(展覧会会場は2階)。今回初公開となる、海の見える杜美術館所蔵の《夜討曽我絵巻》を大きく拡大して、長い廊下の壁面を絵巻に見立ててみました。いずれも第1巻から、向かって右手の壁は巻狩に向かう源頼朝一行と富士山麓の雄大な風景、左手の壁には頼朝が富士の巻狩の様子を描いた場面をとりました。《夜討曽我絵巻》は、幸若舞曲の曽我物の中でも人気の一曲「夜討曽我」を9巻の絵巻にした作品。通常は1枚〜2枚の挿絵で描かれる「富士山麓で頼朝が開催した巻狩」というモチーフを、この絵巻では実に1巻を丸々費やして描きます。左の壁面にあげた狩の場面は、絵巻の実寸で約9メートルにもおよび、この廊下の壁には収まりきりませんでした。展覧会では、前期(4月7日(日)まで)は富士山の場面を、後期(4月9日(火)から)は狩の場面を展示いたします。
右手の壁。端に頼朝一行を小さく、富士山麓の景観を雄大に描きます。
左手の壁。狩場では種々の獲物が追われます。かわいらしい兎や猿も。
古美術の展示は作品保護のため残念ながら照明の明るさを落とさなければなりません。そして絵巻の画面は縦30〜40センチほどと小さく、もっと明るいところで近くで見てみたい!という欲をかきたてます。広々とした富士山麓の風景と、にぎにぎしい活気に満ちた狩の様子。印刷ではありますが、実際よりもずっと大きな画面で、絵巻ならではの横長の画面を存分に生かした絵の面白さを味わっていただければと思います。
「幸若舞曲と絵画」展は5月12日(日)まで、二ヶ月ちょっとの会期です。ぜひお早めにどうぞ!空気もだんだんと春らしく緩んで、遊歩道の河津桜は9分咲きの見頃を迎えています。展覧会とあわせてお楽しみください。
谷川ゆき
暖かい日が続くようになりました。
気がつけば、長期休館に入り約1ヵ月半が経ちました。
ついについに待ちに待った春期特別展、
「幸若舞曲と絵画 -武将が愛した英雄(ヒーロー)たち- 」が、
明日3月2日(土)に開幕いたします!
常設展の香水瓶展示室も作品を替えておりますので、
「以前も見たよ」という方も、ぜひぜひお楽しみにお待ちください。
A.N
こんにちは、クリザンテームです。
香水の歴史を知るために、雨空や曇り空が続く冬のパリから、南仏の避寒地コート・ダジュールへとやってまいりました。地中海に面したカンヌやニースから小高い山間部へとのぼると、近代香水発祥の地である小さな町グラースがあるからです。
そのあちらこちらには、香水の研究所や香水専門店、そしてもちろん博物館があり、少し足を延ばして郊外へといけば、グラースの豊かな歴史を支え続ける数々のお花畑があります。それらの写真を見るにつけ、またこの地で数々の香りを嗅ぐにつけ、今回は時期がかなわなかったものの、次こそはラヴェンダーの季節に戻ってこようとの思いが強まります。
グラースには、香水に関する博物館がいくつもあるのですが、まずはもっとも規模の大きい国際香水博物館をのぞいてみました。
エントランスを抜けると、巨大な香水工場に入ったような内装に驚かされます。
と思うと、邸宅のような建物に迷い込んだり……
と思うと、冬の果実が彩る、魅力的な中庭に不意に行き当たったり……(あれ!?外に出てしまった?)
この階段はのぼるべきか否か……また迷子になりそうな予感と好奇心の狭間で悩みます。
展示室の次なる扉を開けると、思いもよらぬ空間が待っています。いくつもの建物が連結した広大な博物館内は、入り組んでいるのですね。なにしろ、エントランスと出口も違うほどですので、方向音痴のクリザンテームには大変です!
さて、展示室の構成は、海の見える杜美術館の常設展示室同様、古代エジプトから現代までの香りの容器が時代と地域ごとに分類展示されています。順路が正しく辿れた暁には(!)、香りの悠久の歴史を辿ることができるでしょう。
順路に沿って、古代から……
香りの器がずらりと並ぶ古代ギリシャ・ローマ展示室。
18世紀展示室では、これこそ究極のネセセールのひとつと、つい言いたくなるような作品が見られます。象牙製ケースにおさめられた、マリー=アントワネットの旅行用ネセセールです。
20世紀は、社会の大きな出来事の記述ともに、なんと一年毎に代表する香水瓶が展示されています!
順路通りに辿れず、戻ってしまった時代の展示室では……
まあ!とても親近感の湧く二つの香水瓶が! このように海杜のコレクションのお仲間たちもこちらでは多数発見できます。その相違を確かめるのもまた楽しみのひとつですね。
次回の後編では、グラース香水博物館の調香に関する展示室や、皮手袋について取り上げます。香水散歩をまたご一緒にお楽しみくださいませ。
クリザンテーム(岡村嘉子)
◇ 今月の香水瓶 ◇
左《セント・ボトル》イギリス、セント・ジェイムズ、1760年頃 右《双口セント・ボトル》イギリス、セント・ジェイムズ1755年頃、ともに海の見える杜美術館所蔵
厳しい寒さが感じられる毎日ですが、今年はまだ暖かい方だということを知り、
広島の冬を初めて体験する私としましては、来年以降の冬を私は耐えられるのかと
若干うなだれそうになっております。
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
先日は寒さの中にも日の光が暖かく、ぽかぽか陽気にひなたぼっこをしたくなりました。
立春が過ぎてからは、明るい時間がよりいっそう長くなったように感じます。
気がつけば杜の遊歩道の梅の花がぽつぽつと咲き始めました。
例年より暖かい気候のせいか、一部の木では見頃を迎えています。
~杜の遊歩道梅林より~ 2月10日撮影
これから徐々にまだ固いつぼみも開いていくことでしょう。
下の写真は昨年の見ごろを迎えた梅の写真です。
2018年3月11日ブログ「梅の花が見ごろを迎えました」より
また、当館発行の季刊誌「Promenade Vol.29」春号が完成いたしました。
こちらも梅の花のように一足早い春のお知らせになれば幸いです。
3月2日(土)より開催する春期特別展
「幸若舞曲と絵画 武将が愛した英雄(ヒーロー)たち 」の開幕に先駆けて、
幸若展の見どころはもちろん、香水瓶展示室や竹内栖鳳展示室、
次回展覧会予告などなど、様々な内容をご紹介しております。
「幸若舞曲って何?」と疑問に思う方も、
Promenadeの中でたくさんの絵と共に解説されていますので、
ぜひお手にとってみてください。
さて、そんな春期特別展も開幕まであと一ヶ月を切りました。
展示室はというと、
試行錯誤をしながら、着々と開館に向けて準備をしております。
果たして間に合うのか…。
A.N
ご無沙汰しております。
昨年の10月27日(土)から開催しておりました
「西山翠嶂-知られざる京都画壇の巨匠-」が
先日1月14日(月)を持ちまして、無事に閉幕いたしました。
期間中は、多くのお客様にご来館いただき
誠にありがとうございました。
\また逢う日まで/
さて、当館は1月15日(火)より長期休館に入り、
現在は3月2日(土)より開催の春期特別展、
「幸若舞曲と絵画 武将が愛した英雄(ヒーロー)たち」
に向けて、着々と展示替えを進めております。
また、先日ポスターとチラシが出来上がりました!
今までとは一味違ったデザインとなっており、スタッフ一同満足の仕上がりになっております。
今後は、展示替え期間中の内部をご紹介いたしますので、
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
A.N
2018年も残すところあとわずかとなりました。
皆様は平成最後の年末年始はどうお過ごしでしょうか?
だんだんと本格的な寒さを感じる季節になりました。
先日は朝から雪が降り、日の出とのコントラストがとても綺麗でした。
また、うっすらと雪をまとった杜の遊歩道も幻想的でした。
今年は3月よりリニューアルオープンし、
「香水瓶の至宝-祈りとメッセージ-」から始まり、
続いて「西南戦争浮世絵-さようなら西郷どん-」、
そして現在開催中の「西山翠嶂-知られざる京都画壇の巨匠-」と、
御来館なさいました皆様、誠にありがとうございました。
当館は12月31日(月)が通常通り休館となりますが、
1月1日(火)、2日(水)、3日(木)は開館しております。
来年も引き続き、海の見える杜美術館をどうぞよろしくお願いいたします。
A.N
長い長いと思っていた(実際に長いのですが)西山翠嶂展も、そろそろ終わりが見えてまいりました。しかし2018年が終わることのほうを先に話題として挙げるべきですね(この原稿を書いているのは12月28日です)。2018年は当館にとってはリニューアルオープンという一大イベントがあった年でした。それなりに密度が濃い1年で長く感じたからでしょうか、うっかり「リニューアルしたのは去年じゃなかったっけ?」と思いそうになります。
リニューアル以来、「香水瓶の至宝展」「西南戦争浮世絵展」「西山翠嶂展」と3つの展覧会を開催してまいりましたが、3年間の休館を体験した私から申しますと、展覧会を開催して作品を見ていただける、感想をいただけるというのは非常にありがたいことです。
特に西山翠嶂の下絵は、当館の蔵に長らく眠っていたものですが、ずっと皆様に見ていただきたいと思っていたコレクションでしたので、このたびの展覧会で「おもしろい!」「西山翠嶂ってやっぱりすごい!」「こんな画家がいたなんて」などなどの感想をいただけていることを、本当にうれしく思っております。
さて。
展覧会のみどころとして紹介するのはちょっと違うかもしれませんが、やっぱりご紹介しておきたいのが図録です。
表紙の画像は広島県尾道市、生口島にある耕三寺博物館様がご所蔵の西山翠嶂作品《乍晴乍陰》(1929年(昭和4))です。滋賀県の瀬田にある唐橋という橋を俯瞰して描いた作品で、晴れから雨への気候の変化、橋の上を行き交う人々の様子をこまやかに描き出しており、何度見ても見飽きることのない名品です。おかげさまで本当に素晴らしい表紙になりました。
どなたかにこの図録をお見せするときは、だいたいまず表紙を自慢しますね。たまに事務所でも他の学芸から「いい表紙だね~」と言ってもらってご満悦です。今も手にとってしみじみと眺めています。
…表紙の素晴らしさばかりを力説してしまいましたが、開いても図版がたくさん載った充実の内容となっております。展覧会に出した作品はもちろんのこと、当館が所蔵する翠嶂の下絵や模写をすべて載せました。また、現存している作品も可能な限り掲載いたしました。翠嶂はこんなに素晴らしい作品をこんなに描いたのか、と驚いていただけるのではないかと思っております。さらに、作品の落款・印章(画家のはんことサインですね)も載せています。
西山翠嶂《馬》(1939年(昭和14)、京都市美術館蔵)と、韓幹《照夜白》(メトロポリタン美術館蔵)や李公麟の《五馬図巻》との関連について述べた論文も掲載しています(私の論文ではありませんが)。
会場でもテラスでもお読みいただけるのでよかったらぜひお手にとってご覧くださいませ。
今年の夏の記憶があまりないな~と思っていたのですが、この図録を作っていたからなんですね。いや~、充実したいい年でした。
今年も大変お世話になりました。当館に来て下さった皆様、ブログを見てくださっている皆様、どうぞよいお年をお迎えください!
森下麻衣子
こんにちは、クリザンテームです。
今回は再びパリから最新情報をお届けします。 本年2018年は、日本とフランスにとって、交流160周年という記念の年です。この春、当館で開催された「香水瓶の至宝展」のチラシの片端にも、小さくそのマークが記されているのはお気づきになられましたか?
↑ここです!
パリ装飾美術館、ミュージアムショップのショー・ウィンドウもジャポン一色!
今年2018年のフランスでは、各地で関連イベントが行われています。伝統芸能や現代演劇の野田秀樹や宮本亜門演出作品の上演や講演会等々、華々しい催しが盛りだくさんですが、もちろん美術館も例外ではありません。
魅力あふれる数多の展覧会の中でも、私が最も楽しみにしておりましたのは、11月中旬からパリ装飾美術館で始まりました「ジャポニスムの150年」展です。
貴重なパリ万博資料をはじめ、パリ装飾美術館や国立ギメ東洋美術館等のフランスの美術館が所蔵する日本美術コレクションや、日本美術に影響を受けたフランス人芸術家の作品、さらには現代日本の工芸品やドレスなどが、2000㎡を超える展示会場に陳列されています。約1400点というその膨大な出品点数たるや、どれほどのものであるのかがおわかり頂ける画像がこちらです。
このような展示室がいくつも続きます! 一点一点をじっくりと見る場合、期間中に何度も足を運ばなくては、すべてを見終えられないでしょう。
そこで訪問第1回目は、限られた時間の中で、主要作品を中心に展示全体を見ようと努めました。とはいえ、当館所蔵の香水瓶でも人気の高い、宝飾デザイナーのリュシアン・ガイヤールが手掛けたかんざしは、その美しさに思わずため息が出て、時間を忘れて拝見してしまいました。
アール・ヌーヴォーを代表する芸術家として名を馳せたガイヤールは、植物の表現が実に巧みです。
リュシアン・ガイヤール《かんざし、スピノサスモモの花》1904年頃、べっ甲、ダイヤモンド、金、銀、パリ装飾美術館蔵
こちらは、当館所蔵のヤグルマギクをモチーフにした、リュシアン・ガイヤールが手掛けた香水瓶。クラミー社、デザイン1913年
本展覧会は、その斬新な展示方法でも、学芸員としてはメモをとることしきりでした。例えばこちらはクリザンテーム、つまり「菊」をモチーフにした作品の展示室。展示台がアヴァンギャルドですね。
まるで展示台が浮いているようです!
私が美術館を訪れたのは、来館者が比較的少ない平日の昼下がりでした。展示室を巡っていると、お話好きなパリジェンヌたちに何度も話しかけられました。そして、その度ごとに、ついつい長話……。本展覧会の訪問第1回目の時間は、あっという間に過ぎていきました。
しかしながら、美術鑑賞を通じて互いが身近に感じられる、日仏交流160周年という特別な年を満喫いたしました。
思いがけないちょっとしたおしゃべり、長い年数をかけて使用するからこそ起こる数々の故障類……、何をするにも予想外に時間がかかる、このフランス時間が、ときに人生には必要なのかもしれませんね。
クリザンテーム
この季節にぴったりの松かさをモチーフにしたデザイン。
リュシアン・ガイヤール《香水瓶、松かさ》1913年頃、ニース・フロール社、海の見える杜美術館
クリスマスの季節がやってきました!
街に出ると、あちこちがイルミネーションで華やかに飾られていて、
世間はクリスマスムード一色です。
冬の厳しい寒さの中にキラキラ輝くイルミネーションの暖かな灯りを見ると
なんだか心がホッとします。
敷地内にあるフレンチレストラン
『SEIHO OMBRAGE』に先日行ってみたところ、
外に可愛らしいツリーが飾られているのを発見しました。
中に入ってみると内装やテーブルの小物もクリスマス仕様にアレンジされていて、
一層華やかで素敵な空間でした。
そして、当館ミュージアムショップもクリスマスバージョンにチェンジ!
少しでもお客様にこの時期の心躍るムードを味わっていただけるように
可愛らしくアレンジしてみました。
プレゼントにしても喜んでいただけるような商品も多数ご用意しております。
美術館にお越しの際は、いつもと違ったクリスマス仕様のミュージアムショップを
どうぞお楽しみください。
o.s