竹内栖鳳展のもう一つの見どころ ― 広間の再現

竹内栖鳳が若かりし頃描いた12面の襖絵を展示するにあたり、当初の姿に近い展示をして、栖鳳の絵に囲まれ、そして、大勢の方にお越しいただく美術館としては異例かもしれませんが、襖を開けるという所作をもお客様にお楽しみいただきたいという思いから、この度の竹内栖鳳展で広間の再現を試みることになりました。

三方を囲む空間表現、そして、襖を開けても破たんしない、襖の重なりまで計算された構図の妙、何よりそのたたずまいをお楽しみいただけると幸いです。

この展示は、第二展示室(鳥の作品を集めた部屋)の先にあります。

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (1)《秋冬村家図》広間の再現(複製)

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (3)こちらの襖を開いて次の展示へお進みください。

20141117竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 広間の再現 (2)襖を開くとその正面に、実物の襖を展示しています。

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた? 伝来に関する新たな知見

UMI34
竹内栖鳳《スエズ景色》(1901年 海の見える杜美術館蔵)

竹内栖鳳が描いた唯一の油絵《スエズ景色》については、11月5日のブログ記事で詳しくお伝えしました。この作品について、最近新知見が報告されました。

《スエズ景色》は、1901(明治34)年に開催された関西美術会第1回展に出品された後、このたびの展覧会まで、一般公開の記録が確認されていません。最初の展覧会に出品されてから、今回の展覧会に至るまでの113年の間、この絵はいったいどこにあったのでしょうか?

前の記事にも書いた通り、この絵のかつての所蔵者として挙がっているのは、柴田源七という人物です。柴田は、滋賀長浜の実業家で、芸術家のパトロンとしても名を馳せた人物です。彼が特に熱心に支援したのが栖鳳でした。

《スエズ景色》が柴田に所有されていたことの根拠は、1940(昭和15)年に柴田が記した「珍什の二作品」(『塔影』16巻11号)という文章によります。この文中で柴田は、自身が所有する栖鳳の作品の中でも特に珍しいものとして、この《スエズ景色》を挙げています。これにより、遅くとも1940年までには、柴田が本作を入手していたことが分かります。

また、本作に付属する箱蓋に書かれた由緒書きは、柴田によるものです。この由緒書きの年記は、本作が発表された翌年の1902年。おそらくこの時点でも、柴田が所有していた可能性が高いと考えられます。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-2
《スエズ景色》の箱蓋(海の見える杜美術館蔵)。「壬寅(1902年)秋日」の年記が見えます。

こうした事実より、展覧会出品直後から1940年に至るまでのおよそ40年間、この作品はずっと柴田の手許にあったものと考えられてきました。しかし、こうした推測の再考を迫る新たな情報が、このたび提示されました。京都にある龍谷ミュージアムで開催中の「二楽荘と大谷探検隊」展に出品されている写真絵はがきに、《スエズ景色》ととてもよく似た絵が写っているのです。

この絵はがきは、大谷光瑞が建てた別荘・二楽荘の一室「印度室」を写したものです。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-3
二楽荘「印度室」の写真絵はがき(1912〜13年 龍谷ミュージアム蔵)

この部屋の左側をよく見てください。壁にかかっている絵は、《スエズ景色》と似ています。

20141115《スエズ景色》は大谷光瑞が持っていた?-4
二楽荘「印度室」の壁に掛かっている絵。《スエズ景色》と似ています。

この二楽荘を建てた大谷光瑞は、浄土真宗本願寺派第22代門主(教団の長)です。彼はヨーロッパ留学の経験もあり、教団の近代化に取り組んだ、開明的な人物として知られます。また「大谷探検隊」の名で知られる、中央アジアの調査隊を組織し、仏跡の発掘調査をするなど、様々な文化活動を行いました。

光瑞は1908年、六甲山麓に、彼が懇意にする建築家・伊東忠太が設計した壮麗な別荘を建設します。これが二楽荘です。この別荘は、光瑞が抱える多額の負債や教団内のトラブルがもとで大谷が失脚したため、落成からわずか6年後の1914年に閉鎖しています。今回話題になっている二楽荘を撮影した絵はがきは、1912〜13年に撮影されたことがわかっています。

洋の東西を問わず、宗教権力は芸術の有力なパトロンです。京都の大きな寺社は、近代に至るまで芸術家の庇護者として、絶大な影響力を有していました。栖鳳は、東本願寺との間に特に強い結びつきを持っていたことが知られています。1885(明治18)年、若き日の栖鳳は、師の幸野楳嶺とともに、東本願寺法主の大谷光勝に従い、信州から北越にかけての巡歴に同行しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
《北越探勝帖》(1886年 海の見える杜美術館)。栖鳳が大谷光勝に同行して北越を巡歴した際、各地の名勝を描いた画帖。

また後に栖鳳は、時の東本願寺法主大谷光演より、親鸞上人の650年遠忌にあたる1911年(明治44)に向けて整備が進められていた大師門堂の天井画制作の依頼もされています。この他、栖鳳が描いた数少ない人物画の代表作のひとつである《日稼》(1917年 個人蔵)は、東本願寺の庫裏(寺の台所)の様子を描いたものとされ、モデルとなった女性は信徒総代の娘であることが判明しています。

このように、栖鳳と東本願寺はつながりがあったことが指摘されていますが、仮に《スエズ景色》が光瑞の別荘にあったとするならば、栖鳳は光瑞が率いる西本願寺ともなんらかの関係のあった可能性が浮上してきます。

 

栖鳳と光瑞に個人的な関係があったのかどうかは、残された資料からは判然としません。しかし、栖鳳がパリ万博視察のため渡欧した時期、光瑞もヨーロッパに留学していたことからすれば、もしかしたら、現地で栖鳳と光瑞が対面するなどして、面識があったということも考えられます。

さて、果たしてこの写真に写っている絵は、栖鳳の描いた《スエズ景色》なのでしょうか? 本作を光瑞が所有していたと仮定すると、遅くとも1912〜13年までには柴田から光瑞へと所有が移り、更に遅くとも1940年までには、再び柴田の蔵に帰したということになります。しかし、この間の歴史の空白はあまりにも大きく、現時点では断定的な発言をすることはできません。ただし、《スエズ景色》の伝来に関して、今まで考えもしなかった角度からの光が当てられたことは間違いないでしょう。

《スエズ景色》は、当館にて12月14日まで展示されております。ご興味ある方はこちらと併せて、龍谷ミュージアムで11月30日まで開催されている「二楽荘と大谷探検隊」展も、ご覧になってください。

龍谷ミュージアム公式サイト:
http://museum.ryukoku.ac.jp

田中伝

竹内栖鳳展のもう一つの見どころ - 打掛

受付を済ませて右側へ進み、1階ギャラリーでスケッチや写真、蔵書など栖鳳の学びの足跡をご覧いただいた後、エレベーターで2階へあがり、いよいよメインの展示会場へとお進みいただきます。

2階へ到着し、エレベーターを降りて右側へ進み、案内に従って自動扉を過ぎるとすぐ正面に、長女 園の輿入れに際し、父栖鳳自ら絵筆をふるった打掛が展示されています。およそ100年前の1919(大正8)年に披露された後、人目に触れることはなかったのではないでしょうか。栖鳳の愛娘に向けた深い想いを感じることができる貴重な作品です。

20141109竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 打掛 (1)2階入り口自動扉よりエントランスを臨む

20141109竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 打掛 (2)第2展示室よりエントランスを臨む

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

ホソバヒイラギナンテンの花

20141109ホソバヒイラギナンテン (3)
バラ園の片隅で、ホソバヒイラギナンテンの花が咲いています。
20141109ホソバヒイラギナンテンの花 (1)
実に個人的な感覚なのですが、細長い葉と黄色い花の組み合わせのせいか、
20141109ホソバヒイラギナンテン (2)
なぜか私にはヤシの木が連想され、南国のイメージを掻き立てられる花です。

20141109ホソバヒイラギナンテン (4)バラ園入口
バラ園は、杜の遊歩道の駐車場側入り口にあります。

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

もりひこ

竹内栖鳳展のもう一つの見どころ - 第五展示室

当館は、展示をひと通りみたあとロビーにもどってくる順路になっています。
そこで何となく展覧会を見終わった気分になるのですが、受付を正面に見て左側にもう一つ、第五展示室がございます。

入り口のガラス扉から部屋をのぞくと、中は少し暗く様子がよく見えませんが、どうぞ自動扉『開く』のスイッチを押してください。この部屋では、いろいろな角度から作品をご堪能いただけるよう、特に工夫を凝らした展示を試みています。

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (4)畳の間に屏風を展示

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (1)栖鳳作の茶道具で茶室を再現

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (2)床の間を模して作った展示ケース

20141108竹内栖鳳展のもう一つの見どころ 第5展示室 (3)栖鳳が絵付した珍しい器物類の展示

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

うみひこ

紅葉が見ごろを迎えました(3)

秋も深まり、海の見える杜美術館の樹々が色づき始めました。
今日は駐車場と美術館をつなぐ、シャトル沿道の紅葉を紹介します。

20141108紅葉が見ごろを迎えました3 (4)モミジ

20141108紅葉が見ごろを迎えました3 (3)モミジ

20141108紅葉が見ごろを迎えました3 (1)モミジ

20141108紅葉が見ごろを迎えました3 (2)トウカエデ

シャトルご利用の際には、周りの景色をごゆっくりお楽しみください。

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

もりひこ

ツワブキの花とアサギマダラ

20141108ツワブキの花 (3)
ツワブキの花が満開です。
20141108ツワブキの花 (2)
杜の遊歩道も、
20141108ツワブキの花 (1)
シャトルの沿道も。
(この白い車が駐車場と美術館を往復しているシャトルです)

20141108ツワブキの花 アサギマダラ (1)
撮影をしていると、アサギマダラ(チョウ)がやってきました。 20141108ツワブキの花 アサギマダラ (2)
キク科の花を好んで吸蜜するといわれています。
ツワブキはキク科です。

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

もりひこ

フジバカマの花

20141107フジバカマの花 (3)
『万葉集』の歌に詠まれるほど、古くから日本人に親しまれてきた花ですが、
20141107フジバカマの花 (1)
近頃では目にすることが少なくなりました。
20141107フジバカマの花 (2)
杜の遊歩道には、秋の七草を寄せ植えしているコーナーがあります。

万葉集: 秋の七草を詠んだ歌
「秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種の花」(1537)
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花」(1538)

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

もりひこ

紅葉が見ごろを迎えました(2)

秋も深まり、海の見える杜美術館の樹々が色づき始めました。
今日は遊歩道の紅葉を紹介します。

20141107紅葉が見ごろを迎えました2 (1)
桜の園のサクラ

20141107紅葉が見ごろを迎えました2 (4)
イチョウとモミジ

20141107紅葉が見ごろを迎えました2 (2)
イチョウの並木

20141107紅葉が見ごろを迎えました2 (3)
モミジの並木

グラデーションを織りなす紅葉も味わい深いものですね。

 

12月14日まで、“幻の油絵”公開で話題の「生誕150年記念 竹内栖鳳」を開催しています。ぜひお越しください。

もりひこ