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展覧会

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美術の森の動物たち―近代日本画の動物表現―

【趣 旨】

動物は絵画における主要なテーマの一つです。彼らは狩猟の対象として、家畜として、愛玩動物として私たちの生活と切り離せない存在であり、かつ崇拝の対象でもありました。その密接な関わりを示すように、古来、日本においても絵画に描かれ続けてきました。
近世以前においては、動物は特別な力を備えていたり、長寿や出世などのおめでたい意味を持つ存在として描かれました。明治以降は、そうした伝統を引き継ぎつつも、画家が動物に注ぐ眼差しに変化が起こります。
例えば1900年(明治33)に渡欧した先で本物のライオンを見た竹内栖鳳(1864~1942)は、現実のありようを重視してその姿を描きました。美術館や博物館などの施設と共に動物園が整備され、画家に実物を見て学ぶ機会を広く与えたことも興味深いことです。さらに時代が進むと、動物の生きる姿に自己を投影し作品に描く画家も現れます。本展覧会では、主に明治から昭和にかけての画家たちが描いた動物絵画を展観し、近代以降、動物がどのように人々に見られ、動物を描くことがどのような意味を持っていたかをご覧いただきます。

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【基本情報】

[会期]2022年6月4日(土)〜2022年8月28日(日)
[開館時間]10:00〜17:00(入館は16:30まで)
[休館日]月曜日[ただし7月18日(月・祝)は開館]、7月19日(火)
[入館料]一般1,000円 高・大学生500円 中学生以下無料
*障がい者手帳などをお持ちの方は半額。介添えの方は1名無料。*20名以上の団体は各200円引き。
[タクシー来館特典]タクシーでご来館の方、タクシー1台につき1名入館無料
*当館ご入場の際に当日のタクシー領収書を受付にご提示ください。
[主催]海の見える杜美術館
[後援]広島県教育委員会、廿日市市教育委員会


【イベント情報】

当館学芸員によるギャラリトーク

日 時=6月11日(土)、7月23日(土)、8月20日(土)各13:30〜(45分程度)
会 場=海の見える杜美術館 展示室
参加費=無料(ただし、入館料が必要です)
事前申し込み=不要

【夏休み企画①】ミニ屏風を作ろう!

日 時=8月13日(土)13:00~(所要時間・2時間程度)
定員=5名(小学生以上、要事前申し込み)
参加費=1200円
申し込み方法=お電話かメールにてお申込みください。その際、参加者のお名前と電話番号をお知らせください。なお、先着順にて定員に達し次第締め切りとさせていただきます。
℡:0829-56-3221 メールアドレス:info@umam.jp
(件名に「ワークショップ参加希望」とご記入ください)

 

■【夏休み企画②】鑑賞シートで動物の絵をもっと知ろう!

夏休み期間中、小学生の方向けに展覧会を楽しく鑑賞するための鑑賞シートをお配りいたします。


【章立て・主な出品作品】

第1部 動物の姿と、ふくらむ想像

古くから日本では様々な理由から動物の絵画が描かれてきましたが、その中には、動物を特別な意味を持つ存在として、あるいは大きな力を持つ存在として描く絵画が多くあります。風雲を呼び力強さを示す龍と虎、長い年月を生きると考えられ、長寿を意味する鶴と亀の絵画などです。動物の姿、動物の習性から想像を膨らまし、単なる生き物ではない、特別な意味を見出だしていたと言えるでしょう。そしてその想像を多くの人たちが共有し、家の中の襖や、屏風、掛け軸などに描き鑑賞してきました。

ここでは、江戸時代の終わりごろから近代にかけての画家たちが描いた、特別な意味を込められて描かれた動物たちをご紹介します。それらの絵画は、今ではやや薄れがちとなった動物たちと人との関わり方を見せてくれることでしょう。

幸野楳嶺《馬猿図》 1877年(明治10
鈴木松年・鈴木松僊《旭日群雀図・月下蝙蝠図》明治時代

第2章 本物らしく描く 

動物を、本物らしく描きたい。そのような気持ちは、古くから多くの画家が抱いていたと思われ、江戸時代から、写生に基づいて動物を描くことが試みられてきました。しかし、例えば日本の自然に住んでいない虎やライオンなどは、その存在は知られていても、実際に見て描くことはできず、長い時代、誰かが描いたお手本をもとに描いていました。それは、日本人の画家にとっては、ほとんど想像上の動物だったのです。

しかし、明治時代になり、西洋文化の流入が活発になると、そのような状況も徐々に変わってきます。ヨーロッパに渡り本物のライオンを見た栖鳳は、自分のスケッチをもとにライオンを描き、それは大変な話題になりました。実物を見て写生して本物らしく動物を描くこと、美しい姿の動物を華やかに画面の中にレイアウトするのではなく、そこに息づいて動いているかのように感じさせるような動物を描くこと—これは、近代の画家にとって、一つの共通の課題になったと言えるでしょう。ここでは、栖鳳はじめとする近代の京都画壇の画家たちの動物絵画を紹介します。

西村五雲《獅子》1907年(明治40)
西山翠嶂《深山遊鹿》明治時代

第3章 画家の心と動物

写生を重視し、毛並みの質感など、本物にせまる表現が追求された一方で、飢えと戦わなければならないという悲しい(さが)、寒さに耐える様子などに着目し、その姿を描いた画家もいました。孤独、孤高、あるいは仲間や飼い主とともにいる温かさ、喜びや悲しみを持つ存在として動物を描くということ、それは馬や猿、鶴や亀におめでたさを見出だすのとは全く異なるアプローチであると言えます。また、風景の中の動物を「自分の分身」と語った池田遙邨のように、自分の気持ちや心情を、絵画の動物に託して描く画家もありました。自分たちが、動物をどのような存在としてとらえるのか、何を動物の本質として描くのかという、画家たちの問いがあると言えるでしょう。

川端龍子《春椽愛狗》 1941年(昭和16)